ノコギリの刃

『道を歩いていたら、木を伐っている人がいた。
汗を汗を流しながら一生懸命ノコギリを動かしていたが、
木はびくともしなかった。

なぜだろうと思い、よくよくみてみると、
ノコギリの刃がすっかりにぶくなっていて、
どんなにがんばっても、木はかたむかない。

そこでこう声をかけた。

「ちょっと、おじさん!少し休んで汗をふいて、
ノコギリを研いだら、ずっと楽に伐れるはずですよ」

すると、見向きもせずに手をふりながら彼は答えた。

「よけいなこと話かけるな、あっちに行ってくれよ。
いまそんな暇がどこにあるってんだい?

今日この木をぜんぶ伐らなきゃいけなくて、とても忙しいんだ・・・・。
とにかくいま忙しいから、人の邪魔しないで、そのまま行ったらどうだい」

どうしてそんなやりかたをするのかと思い、
まわりをみわたすと、似たような人がとても多い。

ノコギリの刃がどんなににぶいのか気づかないまま、
なぜ木を倒せないのか理解できずにいるのだ。

たいていは真剣さや努力がたりないのだと自分を責めて、
さらに懸命にノコギリを動かしている。


「木を伐るのに八時間もらえるのなら、
そのうちの六時間は斧の刃を磨くのに使う」

エイブラハム・リンカーンはそういったという。

中略

雑巾が汚れていては、がんばって掃除すればするほど
家はもっと汚れるものだ。』


「つらいから青春だ」とうい本の一部です。


ノコギリの刃を研ぐことが、まさに意識体の垢を落とすこと、
また体幹チューニングにより自然体になること、ではないかしら?
と思いました!